小中学生の頃、毎日食べていた学校給食。さまざまなメニューが味わえる給食は、学校での楽しみの一つだった人も多いのでは。
甲信食糧はその学校給食をはじめ、福祉施設や外食産業、ホテルなどに食材を提供している会社だ。
「新しいメニュー考案のヒントになるような提案もしながら、毎日安心で安全な食材をお客様にお届けするのが私の仕事です」
そう話すのは同社社員の寺田陽一さん。
入社4年目の若手営業マン。
「まだまだ勉強中ですが、多くの子どもたちがうちの商品を食べて育っているんだな、子どもたちの成長を食を通して支えているんだなと思うと、責任とともにやりがいを感じます」
そう話す表情からも、仕事に打ち込んでいる様子がうかがえる。
甲信食糧は和食、洋食、中華、イタリアン、病院、学校給食など、さまざまな食材を幅広く扱っている。取引している業態も幅広く、多様なニーズに応えられる食材の豊富さが自慢だ。
地産地消にも力を入れていて、温泉ワインうなぎやニジマスなど、県産品の種類の多さも同社ならでは。
「営業の仕事は、まずは扱っているさまざまな食材について学ぶところから始まります。さらに料理の知識や各業界の特徴など、多くの知識と経験の積み重ねが必要です」
「入社して3年経ちますが、まだ扱ったことがない商品もたくさんあります。学ぶことはまだまだありますね」
そう話す寺田さんは、いい笑顔をしている。
学ぶことは多いが、それだけ仕事の広がりも面白さも、さらに増えていくことが楽しみなようだ。
営業成績の数字は
お客様に喜んだもらった数
寺田さんは富山県の出身で、山梨には大学進学を機にやって来た。
「山梨は初めてでしたが、こじんまりとした大学だったこともあり、とてもいい友人に囲まれて、すごく楽しく過ごしました」
大学卒業後は実家のある富山に帰るという道もあったが、山梨での就職を選択。
「山梨の人柄も土地柄もすごく好きで、周りの友達も山梨で就職する人が多く、もっと山梨で暮らしたいと思ったんです」
「人と話すのが大好きで、また大学時代には友人や知り合いの誕生日を大々的に祝うという活動をしていて、周りを楽しませることがすごく楽しみでした。なので人と対話し、喜ばせることができる営業職を希望しました」
入社当初は商品とお客様を覚えるだけで手いっぱいだったが、最近は顧客との対話もよりスムーズにできるようになり、やりがいも大きくなっているという。
「何度も足を運ぶことで親近感を抱いてもらい、雑談の中から新たな注文をいただいたり、『よく来てくれるから、これからは寺田君にお願いするよ』と選んでもらえることも増えました」
営業にノルマはないそうだが、それぞれが自分で設定した目標を数字として掲げている。
「お客様に頼っていただける喜びはとても大きく、その喜んでもらった分だけ数字も伸びています。数字を見ると、これだけ喜んでもらえているんだ、頼ってもらえているんだとうれしくなります」
そう言って満足そうにほほ笑む。
目標とする先輩がいる
恵まれた職場環境
「そうは言ってもまだまだです。早く先輩たちのような、お客様のニーズの一歩先を行く営業になりたいです」
「これを欲しい」と言われて注文を受けるのではなく、提案して「そういうのが欲しかったんだよ」と喜んで注文してもらう。
そんな営業が目標だという。
「すごい知識を備えたスペシャリストの先輩がいます。お客様が欲しているものを読み取るのはもちろん、『これとこれを使って、こういったメニューを作ってみてはどうでしょう?』とニーズを読んだ具体的な提案ができるんですよ」
営業職の先輩にはコミュニケーション能力の高い人も多いそうで、目標としている先輩がたくさんいるという。
「こういう営業になりたいという先輩が年代ごとにいるんです。5年後、10年後、15年後の目標を具体的に持つことができるこの環境は、本当に恵まれていると思います」
「職場の雰囲気もすごく良くて、この会社に入って良かったって本当に思います。仕事なのでもちろん大変なこともありますが、会社に行きたいくないなと思ったことがないのは、この職場環境の良さがあるからこそです」
働きやすい環境で、さらに目の前に目標とする人がいて将来をイメージしながら働くことができる。
それは確かにとても素敵な環境だ。
「営業は基本的に一人での行動が多く、仕組みも特にないので、独学で自己流のスタイルをつくっていくんですが、朝の荷物の積み込みの時は先輩たちから学べるチャンスなんです」
どこのお客様が何をどれぐらい発注しているのかをチェックし、その業界のニーズを把握したり、気になる商品があれば『これ、どこで使っているんですか?』と聞いて新しいニーズをつかんだり。
そうやって一歩一歩前進している。
「私も早く後輩を指導でき、頼られる先輩になりたいです。人と話すのが好きな人、人が喜ぶ姿を見て一緒に喜べる人と一緒に働いていきたいですね。ともに成長していけたらと思います」
声を弾ませながら目標を語る寺田さん。
その笑顔から、甲信食糧という会社のあたたかさ、営業職のおもしろさが伝わってきた。
聞き手:佐藤 文昭(山梨大学地域未来創造センター)
※2019年3月4日にインタビューを実施しました。甲信食糧株式会社
山梨県中央市山之神山梨県流通センター内 2-1-2
【事業内容】
業務用食材の卸売業(山梨県内小中学校・宿泊施設・レストラン・病院・介護施設・スーパー他約1,000軒)